2009年9月10日掲載
ソウルで購入した草木染めの布を使ったポジャギ(写真提供・中島恵)
実際にポジャギを目にし、その美しさに触れれば、何も感じないという人はいないはずだ。極彩色から草木染めの自然な色合いまで、ポジャギが発するさまざまな色のニュアンスは、あらためて色彩の豊かさというものを教えてくれる。また、一針一針縫ったパッチワークの繊細な質感は、広げ眺めているだけで、心を和ませてくれる。
このポジャギの魅力、その歴史と文化を総合的にとらえた本が出た。著者は、中国、香港、台湾のビジネス・社会事情について雑誌に執筆しているフリージャーナリストの中島恵さん。香港留学経験があり、『北京探訪』、『職は中国にあり』などの著書もある。
『ポジャギ韓国の包む文化』について、中島さんに聞いた。
(インタビュー・構成/田邊道彦)
女性が残したこの世に生きた証し
紫色の如意珠紋のポジャギ<テーブルセンター>
ポジャギに出合ったのは、2003年春。東京・錦糸町にある、ポジャギ作家・崔良淑(チェ・ヤンスク)さんの主宰する「からむし工房」を訪ねたことにはじまる。ドアを開けると、風にやさしく揺れる布があった。朝鮮半島の春の芽吹き、色とりどりの花々を感じた。以後、この教室に通い、ポジャギ制作を学ぶ。
本業として東アジア・ビジネス事情の取材・執筆を続けながらも、しだいに、韓国の布の文化や生活風習への関心が深まり、韓国にポジャギ取材に出かける。ソウル江南地区にある韓国刺繍(ししゅう)博物館を訪ね、館長の許東華(ホ・ドンファ)氏にインタビューを行った。許氏は、1970年代からポジャギや刺繍に注目し、約1,000点を収集している。
中島さんはこの博物館で、韓国随一の質の高いポジャギ・コレクションを目のあたりにし、許氏から、「手持ちの材料を工夫して作ったポジャギのデザイン性」、「普通の女性が生活の中で生み出した美」を教わったという。氏は、「ポジャギや刺繍は、それらを作った女性が残したこの世に生きた証しですよ」と語った。
